遺品整理はいつから始めるべき?
家族や親族が亡くなったら、故人が残した遺品を整理する必要があります。
遺品整理には明確な期限は設けられていませんが、一般的には葬儀直後、諸手続き後、四十九日法要後、相続税の申告前など、区切りのよいタイミングでおこなうことが多いでしょう。
しかし、いつから始めればよいのかは、遺品の量や作業者の人数などで変わってきます。
この記事では遺品整理を始めるのにオススメな時期やタイミングについて紹介いたしますが、まず遺品整理をある時期や期日までにやらなければいけないという決まりはありません。遺品整理の内容やかかる日数などについては「これが正解」と決められてはいないのです。そのため状況によって適切なタイミングを判断しなければなりません。
①葬儀直後
故人の遺品を整理することで現世への心残りを取り除き、安心して来世へ旅立っていただくお手伝いをする気持ちでやってみましょう。
故人が賃貸マンションやアパートを借りており、次月の家賃を支払う前に退去したい場合は早い段階で遺品整理に取りかかると良いでしょう。
また、遺族の多くが遠方に住んでおり、なかなか集まる機会が少ない場合も葬儀や告別式と並行して遺品整理や形見分けを始める場合が多いようです。
相続に関するトラブルを未然に防ぐためにも、葬儀や告別式の合間に、雑談として親族と遺品整理について話し合ってみるのも良いかもしれません。
②諸手続き後
人が亡くなった直後は、役所への死亡届の提出、年金・健康保険・介護保険などの届出、公共料金・金融機関に関する手続きなどが必要になります。
その為、遺品整理まで手が回らないことも。そのため多くの方が、ひと通りの手続きが終わってから遺品整理に手をつけます。
③四十九日法要を迎えた後
四十九日とはその名の通り、故人が亡くなってから49日までの期間のことをいいます。 仏教の考え方に基づいたものであり、死後、故人はあの世で極楽浄土に入れるのかを決める裁判が49日間にわたって行われると考えられています。亡くなった方が成仏できるように、初七日と呼ばれる死後7日後と最終日である49日後に法要を行い、丁寧に弔います。 この期間は法要のおかげで親族が集まる機会が増えるため、形見分けを行いやすいという点も理由にあり、遺品整理について相談する良い機会となります。
④相続税が発生する前
相続税とは、相続する遺産にかかる税金のことです。亡くなった方の遺した財産が、相続税の非課税額を超えていた場合、相続性の申告書を作成し、税務署に提出する必要があります。申告書の提出期限は被相続人がお亡くなりになってから10ヶ月以内に申告・納税しないといけません。この期間を過ぎてしまうと、相続税の控除を受けられなくなり、延滞税を課されてしまうことがあります。
相続税の申告書の作成や提出は相続者自身で行うことも可能です。しかし、相続の手続きは複雑なため、税理士などの専門知識を持った方に依頼するとよいでしょう。また相続手続きだけでなく家の中の家財処分についてもお悩みの場合は、相続についても相談できる遺品整理業者に依頼することもできます。
⑤賃貸物件の遺品整理は早めに行うケースもある
賃貸物件で遺品整理を行う場合は、できるだけ翌月の賃貸料が発生する前に終了させることをおすすめします。 賃貸物件は月極契約がほとんどのため、荷物を放置しているだけでも賃貸料が発生してしまいます。賃貸契約書を確認して家賃や契約期間を把握し、翌月の家賃が発生しないうちに退去することを目指しましょう。 しかし、もし借主が月の半ば以降に亡くなってしまった場合は、無理に当月中に退去しようとする必要はありません。余裕を持って葬儀や遺品整理を終わらせるために次月分の家賃を支払い、故人を弔う準備を優先するのが良いでしょう。市営や県営住宅の場合は、14日以内に退去しないと、延滞費用がかかってしまう場合があります。また無駄な費用をかけないためにも、賃貸契約書を確認し、翌月の家賃が発生しないタイミングで退去することをおすすめします。
また、賃貸物件では原状回復料が求められます。原状回復とは、賃貸物件を貸主に返す時に、汚したところや改築箇所を元に戻してから返すことです。経年劣化による家の損傷は貸主が負担しますが、借主による故意・過失の損傷は借主が負担します。
さらに、孤独死が発生してしまった場合は、一般的には連帯保証人が、いなければ相続人が原状回復の責任を負います。このようなケースの場合は、特殊清掃ができる業者を探しましょう。
⑥空き家になる場合は注意
配偶者・家族など故人と同居していた方がいて、数部屋分の遺品整理だけが必要な場合はその限りではありませんが、故人様が一人暮らしで家が空き家になる場合は、その家が2015年5月26日に施行された「空き家対策特別措置法」により「特定空家」の対象になります。「特定空家」に指定されないよう、物件の取り扱いについても考える必要があります。
いずれかの状態にある空き家は「特定空家」の対象になります。
・倒壊など保安上危険となるおそれのある
・著しく衛生上有害となるおそれのある
・管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている
・周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である
物件が特定空家に指定されるデメリットとして、自治体から指導・助言・勧告が行われ、それでも改善されない場合には50万円以下の過料が発生する、勧告後は優遇措置の対象外となることで固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性が挙げられます。
(参考:国土交通省『空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報』)
⑦まとめ
遺品整理を行う時期としておすすめなのは、自分の気持ちに整理がついたタイミングです。確かに一般的なタイミングでの遺品整理は、効率的に行うことができます。しかし、まだ精神的に落ち着いていない時期に無理して遺品整理を行うと、余計に心が乱されてしまい、思うように進みません。
一番大切にしたい判断材料はご自身が遺品を片付ける決心がついているかどうかになります。まずは故人を偲んで気持ちを落ち着かせてから、ゆっくりと遺品の整理を行ってください。
また、一軒家など整理を行う範囲が広くご自身での対処が難しい場合や、専門家からサポートやアドバイスを受けたい場合には遺品整理業者への依頼も考慮するのがおすすめです。ご自身での対処、業者への依頼それぞれのメリット・デメリットは以下の記事にまとめられていますので、良ければ参考にしてください。
そのため、故人への思いに整理がついたタイミングが遺品整理を行うのにもっともよい時期です。